八月の生命の言葉

「人みなは 姿ちがへど ひたごころ 戦なき世を こひねがふなり」今上陛下 (平成九年歌会始お題「姿」より)
 
この御歌は、平成九年歌会始(皇太子時代)に詠まれた御歌です。阪神・淡路大震災の復興と平安が強く望まれた時代です。
陛下は昨年五月一日、即位後朝見の儀のお言葉にも、「象徴として国民の幸せと世界の平和を切に希望します」と語られました。
同じく昨年の歌会始では、「雲間より さしたる光に 導かれ われ上りゆく 金峰の峰に」と、上皇陛下の後姿を「さしたる光」と御心を詠まれました。
この上皇陛下の後姿は、「国やすかれ民やすかれ」と祈り、「国の象徴」として被災地に寄り添い悲しみを分け合うお姿、激戦地の英霊に平和を誓う鎮魂の黙祷をするお姿であり、私たち多くの国民に深い感動を与えました。
昨年、践祚後の一般参賀では人々の寿ぎの声が皇居を埋め尽くし、平安絵巻さながらの即位礼では日本の古き伝統を心に残し、五穀豊穣と安寧を祈る大嘗祭は「国やすかれ民やすかれ」の祈りの極致を現わしました。
今上陛下に受け継がれた「国民と共に歩む在り方」は戦後の疲弊と混乱の中で全国行幸を成し遂げられた昭和天皇のお心に繋がるものがあります。
昭和天皇の御製に、「身はいかに なるともいくさ とどめけり ただたふれゆく 民をおもひて」と詠われた公正無私のお姿が今上陛下にも脈々と息づいています。