四月の生命の言葉

「風さゆる み冬は過ぎて まちにまちし 八重桜咲く 春となりけり」昭和天皇

昭和天皇(一九〇一〜一九八九)はご幼少のころから生物に興味をもたれ、特に変形菌類や植物、ヒドロ虫類についてのご研究により生物学の発展に大きく貢献されました。昭和天皇はご自身で生物をご採取されるだけでなく、国内外から多くの標本の寄贈も受けられ、その数は六万点を超え、その多くは国立科学博物館に移管されています。またヒドロ虫類、那須や皇居の植物に関する本も出版なされご研究で多くのご成果を挙げられました。入江相政元侍従長の『宮中侍従物語』によると、侍従等の「雑草を刈っています」という言葉を聞き「どんな植物でも皆名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草と決めつけてしまうのはいけない、注意するように」と話されたというエピソードが残っています。また、上皇陛下の「ハゼの研究」や今上陛下の「水の研究」などご皇室の学術ご研究のご成果は学術論文として公にされています。