十月の生命の言葉

「末の世と いつより人の いひ初めて 猶世の末に ならぬなるらむ」大隈言道
人はいつの時代から「世も末だ」と言い始めたのだろうか。随分、昔から言い続けながらも、いまだに世の末にはならないようだ。『草径集』

大隈 言道(おおくま ことみち)
一七九八〜一八六八年。江戸時代後期の歌人。福岡の商家の生まれ。三十九歳で家業を譲り隠棲、実情実景を率直な言葉で詠むことを重んじ独自の歌風を築いた。幕末といういわば日本の世紀末の時代にあって、それに浮き足立つ世相への憤りを歌ったもの。自分の今、生きている時代を自覚し、質朴に懸命に生きることこそが大切だという思いが込められている。
                           東京都神社庁「生命の言葉」より