三月の生命の言葉

「何事のおはしますかはしらねども かたじけなさになみだこぼるる」西行
 西行法師が、伊勢神宮に詣でて、その時の感動を詠んだもの。仏教に帰依した身の西行は、伊勢神宮の名前を直接出すことを遠慮し、何がいらっしゃるかはわからないが、そのありがたさに涙がこぼれると歌ったと伝えられる。『異本山家集』

西行(さいぎょう)
 元永元年(一一一八)〜建久元年(一一九〇)平安後期の歌人。左衛門尉佐藤康清の子、母は監物源清経の娘。俗名は義清。晩年に円位と号し、大宝房とも称す。保延六年(一一四一)にわかに出家し、西行と名のる。出家後数年間は嵯峨東山鞍馬などの草庵や寺を転々として修行。生活体験のにじみ出た述懐歌にすぐれ、新古今和歌集では九四首が入集。
                   東京都神社庁「生命の言葉」より