六月の生命の言葉

「人の親の心は闇にあらねども 子を思う道にまどひぬるかな」藤原兼輔
親の心は夜の闇ではない。しかし、子どものことを思うと、まっくらな闇を進むようで、迷い、途方に暮れるばかりである。『後撰集』

藤原兼輔(ふじわらかねすけ)
八七七〜九三三年。平安時代の歌人。三十六歌仙の一人。紫式部の曽祖父。賀茂川堤の近くに住んでいたことから堤中納言と呼ばれた。この歌は娘・桑子が醍醐天皇に嫁いだ後の心配でならない心を詠んだもの。いつの時代も子を思い、悩む親の心は変わらないものである。
                        東京都神社庁「生命の言葉」より