十月の生命の言葉

「一日延ばしは時の盗人」上田敏
この語は唯一の創作小説『うずまき』の中の会話の一説。「時は金なり」「一寸の光陰軽んずべからず」などというべきところを「時の盗人」であると強く言ったところが名言としての価値がある。我も人も、時の盗人にならないよう注意しなければならない。

上田敏(うえだびん)明治七年〜大正五年(一八七四〜一九一六)。明治時代の詩人、文学者、評論家、翻訳家。幕臣上田絅二の長男として東京築地に生まれた。東京帝国大学英文科卒業。青年期より西欧文学の翻訳紹介に務め、明治二十八年『帝国文学』の創刊を参画する。「山のあなたの空遠く幸い住むと人の言う」カール・ブッセなどの名訳詞は、今なお広く知られている。                 東京都神社庁「生命の言葉」より