「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」藤原敏行
秋が間違いなくやって来たとは目にはまだはっきりとは見えないけれども、風の音に自然にそれと気付かされて、はっとすることだ。出典『古今和歌集』
藤原敏行(ふじわらとしゆき)
生年不詳〜九〇七年または九〇一年。平安時代初期の歌人、書家。三十六歌仙の一人。詞書に「秋立つ日によめる」とある通り立秋の日に詠まれた歌。季節の移り変わりを敏感に感じ取り、その感動が素直に表現されている。自然とともに生きてきた古代の日本人の姿が思い起こされる。
東京都神社庁「生命の言葉」より